2014年10月5日、大田区立郷土博物館にて特別講演「歌人片山広子と翻訳家松村みね子」(東洋英和女学院大学教授 与那覇恵子先生)が開催された。大変な雨にもかかわらず会場は馬込文士村ガイドの会のツアー参加者を含め多くの聴講者が集まった。東洋英和女学院卒業は、村岡花子より15歳先輩の片山広子(アイルランド戯曲翻訳家のペンネーム松村みね子)は、一般社団法人大森倶楽部発起人の一人片山貞次郎(元大蔵省、日銀理事)夫人である。片山という姓よりも当時人気絶頂の女優「松井須磨子」のようなおしゃれな名前にしたくてペンネームを松村みね子としたそうだ。
歌集「翡翠」「野に住みて」の中から、「女なれば夫も我が子もことごとく身を飾る珠と思ひぬ」、「我が世にもつくづくあきぬ海賊の船など来たれ胸騒がしに」、「心あわていくばくの金欲しと思うわが一生の最後の日のため」など、多面で奥深くに眠る女の心理、現実問題など想像するに面白い。アイルランド戯曲翻訳の悩み(日本語に訳す適切な言葉探しに苦労)などうなづくこと多し。歌集「野に住みて」「翡翠」、戯曲集も読み直してみようと思う。