馬込図書館主催 馬込文士村文学講座 宇野千代と雑誌「スタイル」に参加して

2015年3月15日(日)大田区立馬込図書館主催の 馬込文士村文学講座「宇野千代と雑誌スタイル」(尾﨑士郎記念館学芸員黒崎講師)に参加。

明治30年生まれの宇野千代は、大正・昭和・平成8年まで98歳という長寿を全うした小説家であり、実業家(スタイル社の社長)、着物デザイナーでもあった。恋愛・結婚遍歴も多く、2度目の夫は作家の尾崎士郎、3度目の夫は画家の東郷青児、4度目の夫は北原武夫であり、その波乱に富んだ生涯はさまざまな作品の中で描かれている。昭和3年梶井基次郎との関係が元で、尾﨑士郎とは別居とあるが、宇野千代によると宇野千代自身は無骨な梶井基次郎に惹かれていたわけではなく、梶井の一途な思いが強かったようだとある。(日経新聞日曜版3/8、3/15「愛の顛末」梯久美子著 梶井基次郎夭折作家の恋 宇野千代をめぐる「決闘」は是非ご覧ください。

 

 昭和11年に、宇野千代は日本初のファッション雑誌「スタイル」を刊行。スタイル社の社長として成功するも、経理感覚が乏しく浪費により、当時8000万円(現在では2億円)相当の借金を抱えて昭和34年に倒産。しかしその後また小説家として人気を得て借金は5年間で完済したそうだ。すごい!!

 

 会場内では、馬込図書館所蔵の復刻版「スタイル」の初号から全号が展示。手にとって眺めることができた。初号から表紙の題字は東郷青児、挿絵は藤田嗣治というすごさ。モダンなデザインはいうまでもない。馬込文士村の作家村岡花子吉屋信子萩原朔太郎なども多く記事を寄せている。

 パリ、ニューヨークなどの流行のドレスから、お化粧法、ヘアスタイル、上流階級の奥様、お嬢様のファッション、美人と名高い芸者衆、着物の紹介まで幅広い。当時の人気もの、※「双葉山」、松竹少女歌劇(当時はSSK)の男役トップスター「水の江瀧子」、当時はまだ中国人女優として紹介されている「李香蘭」、宝塚娘役スター「霧立のぼる」、オペラの「三浦環」、歌手の「淡谷のり子」、女優の「入江たか子」、「高峰秀子」、「山田五十鈴」、「原節子」、「市丸」さんの写真も美しい。また当時の広告(資生堂、明治樺太バター、明治ミルクチョコレート、カルピス、ヘチマコロン、吉行あぐり美容室・・・)のデザインもキャッチコピーも大変面白く、貴重な歴史的価値の高い雑誌を楽しく見ることができた。


※双葉山の稽古場での宇野千代突撃インタビュー記事、双葉山と宇野千代の2ショット写真、稽古場のすごい熱気の中でのレポート、双葉山のお乳を妊娠4ヶ月の妊婦にたとえています!