3月12日(土)子母澤寛生誕130年記念講演参加報告(馬込図書館)

馬込文士村住人の一人、歴史小説家 子母澤寛の生誕130年記念講演会に大森倶楽部事務局長と、馬込文士村ホームページ管理人の2名が参加しました。子母澤寛(本名梅谷松太郎)は、昭和11年に大田区山王1丁目に居住していたころ、大森信和会(現在大森倶楽部)の会員となり、当時の名簿原本が大森倶楽部には保管されています。

 

■開催日時: 2022年3月12日(土)13時~15時30分

■会  場: 本会場: 大田区立馬込図書館 3F 集会室

 

■講演内容:

1部 蝦夷物語~馬込文士村が生んだ作家 子母澤寛  函館市中央図書館 館長 丹羽秀人氏

子母澤寛(本名梅谷松太郎)は、両親ではなく祖父の梅谷十次郎が実子として届け出て育てた。その祖父から幼い頃に聞いた幕末の彰義隊、箱館戦争などにまつわる話が、後年幕末を舞台とした時代小説(新選組始末記、勝海舟などの作品)が生み出される子母澤文学の骨格となった。講演では、祖父を描いた小説「蝦夷物語」が紹介された。

寛は明治25年に北海道厚田村で生まれ、札幌の北海中学を出て上京し明治大学に進学、卒業後は新聞社勤務等を経て小説家となった。大正12年に大森新井宿に転居、馬込文士村の一員に。昭和3年から新井宿子母澤に居住していたことから子母澤をペンネームにした。昭和11年には山王1丁目に転居。戦争が激化した昭和20年に藤沢市に転居し、昭和43年そこで生涯を終えた。

 

異父弟に三岸好太郎(画家、子母澤作品「笹川の繁蔵」の装丁を手掛けた)がいる。その妻三岸節子、子の三岸黄太郎も洋画家である。

 

2部 子母澤寛による作品創作の諸相  大田区立郷土博物館 学芸員 築地貴久氏

歴史小説創作の材料となる幕末維新の情報収集を丹念に行っていた子母澤は、次の歴史研究者や歴史上人物の直系子孫との書簡のやりとりの中から様々なエピソードを知ることができた。

 

1)書簡50通)海軍関係史料・図書館創設、戦後は歴史研究家の大坪元治氏

2)書簡40通)幕末維新史の研究者男谷氏(勝海舟の父小吉の実家。旗本)

 

 

詳しくは、大田区立郷土博物館 紀要23号 「研究ノート」子母澤寛による作品創作と資料収集の一齣 

     大田区立郷土博物館所蔵「大坪元治宛子母澤寛書簡」の紹介を通じてを参照。